離婚・再婚を経験した家庭の相続
現代では、離婚や再婚を経験する家庭も珍しくありません。そのため、親の死後に「異父・異母きょうだい」との間で相続が発生するケースが増えています。
自分の両親が再婚していた場合や、前の結婚で子どもがいた場合には、見ず知らずの兄弟姉妹と遺産の話し合いをしなければならないこともあります。
異父母きょうだいにも相続権がある
養子縁組をしていない連れ子には相続権がない
再婚相手の「連れ子」には注意が必要です。
再婚相手と養子縁組をしていない場合、
その連れ子には相続権がありません。
養子縁組をして初めて、法律上の親子関係が成立します。
子どもはすべて平等に相続権を持つ
父母が離婚や再婚をしていても、前婚・後婚いずれの子どもも、法律上は「子ども」として平等に相続権を持ちます。民法上、子どもの法定相続分は親のすべての子に等しく与えられるため、異父・異母きょうだいの間に優劣はありません。
遺言がない場合は全員で話し合う必要がある
被相続人(亡くなった方)に遺言書がない場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。異父・異母きょうだいと疎遠であっても、全員の同意がなければ分割は成立しません。
戸籍をたどって相続人を特定する
相続人を特定するためには、親の戸籍や除籍・改製原戸籍をたどることが第一歩です。これにより、異父・異母きょうだいの存在や居住地を把握できることがあります。判明した相続人には、まず手紙などで相続発生を伝え、話し合いの機会を設けます。
戸籍の確認と連絡が取れない場合の対応
手紙を送っても連絡が取れないことがある
異父・異母きょうだいの住所が分かっても、手紙を送っても返答がない、または転居していて届かないこともあります。こうした場合には、相続人全員で協議を進めることが難しくなります。
調停を申し立てて話し合いを進める
話し合いができない場合には、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てる方法があります。裁判所の関与のもとで協議を行うことで、客観的で公正な解決を目指すことができます。
遺言がある場合でも相続人への通知が必要
被相続人が遺言を残していた場合、遺言執行者は全ての相続人に遺言内容を通知する義務があります。したがって、異父・異母きょうだいに連絡しないまま相続を進めることはできません。
相続放棄という選択肢もあります
「財産はいらない」「関わりたくない」と考える相続人がいる場合には、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行うことが可能です。相続放棄は、相続を知った時点から3か月以内に行う必要があります。
相続人の廃除や生前贈与を検討する場合
相続人の廃除は厳しい要件を満たす必要がある
「前妻(前夫)の子に財産を渡したくない」と考えても、相続人を一方的に除外することはできません。民法上の「相続人の廃除」は、被相続人に対する虐待や重大な侮辱など、明確で厳しい理由が必要です。
生前贈与には注意が必要
生前贈与で財産を先に渡すこともできますが、贈与額が他の相続人の遺留分を侵害する場合には、死後に「遺留分侵害額請求」が起こる可能性があります。
遺留分や税務面を踏まえ、弁護士・税理士に相談しながら慎重に検討することが大切です。
専門家への相談でトラブルを未然に防ぐ
家庭の事情が複雑な場合には、法的判断だけでなく心理的な配慮も必要になります。
弁護士に相談することで、トラブルを避けながら、現実的で公平な解決策を見つけやすくなります。
見ず知らずの兄弟姉妹との遺産分割トラブル
代襲相続で知らない親族が相続人になることも
異父・異母きょうだいがすでに亡くなっている場合、その子ども(甥・姪)が代襲相続人となります。これにより、まったく面識のない親族と遺産分割を行うケースも発生します。
感情的な対立や不信感が起こりやすい
見ず知らずの親族との協議では、金銭面の不信感や感情的な衝突が生じやすくなります。
提示された財産の内容が正しいのか判断できず、話し合いが進まないこともあります。
弁護士が間に入ることで冷静に進められる
弁護士に依頼すれば、戸籍の収集、相続人の調査、連絡文書の作成、調停・裁判まで一括して任せることができます。第三者が関与することで感情的な対立を避け、冷静かつ円滑に解決を図ることができます。
早めの相談が円満な相続への第一歩
離婚や再婚を経た家庭の相続は、親族関係が複雑で、感情の整理も難しい問題です。
「誰にどの権利があるのか」「どのように連絡を取るべきか」と悩んだときは、お早めに専門家へ相談することが大切です。
京都市中京区の弁護士・戸田洋平法律事務所では、相続人調査から遺産分割協議、調停対応まで、状況に応じた最善の方法をご提案し、依頼者様のお気持ちにも寄り添いながらサポートしています。複雑な相続でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料で承っておりますので、ご活用ください。


